偽りのルール

その人は言った。

「どうして座らないの?」

 

 

もう今年も終盤だから、1年ほど前になるかな。ある電車内でのお話し。

 

海の方で美味しいものを食べお酒も入り、いい気分で移動していた。

席はいくつか空いていたと思う。だからその人は座った。けど僕は向かいに立ったまま話していた。

 

もう何年も前から決めていた。いつからか思い出せないくらい前。

きっとたぶん小学生とか中学生くらいの時からだと思う。

“どんなに空いていようと優先席には座らない”

という自分の中のルール。

それが当たり前と思っていたし、そうすることに何の違和感もなかった。

だからあの日も目の前の席が空いていたけど、つり革につかまりながら話していた。

 

でも違った。

優先席に座らないこと自体は決して間違ってはいないと思うのだけど、僕のそのルールはたぶん自己満足のそれだった。

お年寄りや妊婦さん、困ってる人が座ればいいと思っていたつもりだったけど、実際にはそんな意識もなく長年の自分ルールに従っているだけだった。

 

「どうして座らないの?」

「いや、優先席には座らないって決めてるから。」

「どうして?」

「もう何年も前からそう決めてるんだよね・・・。」

 

その後の彼女の言葉で、僕の考えは180度変わった。

 

彼女は、自分が座っていれば、本当に困っている人がいた時にちゃんと譲ってあげることができると言った。

もし他の人が座って、その人が譲ることをしなかった場合、本当に席を必要としている人が困る、だから私は座っている、と。

 

なるほどなぁと思った。

確かに、優先席に堂々と座り譲る気のなさそうな人たちはたくさんいる。

 

その考え方にとても感心したし、響いた。

だからその日以来、長年(20年以上⁉︎)のルールは捨て僕も座ることにした。今は優先席しか空いていなければ迷うことなくすぐに座っている。

 

その代わりひとつ新しいルールができた。

“優先席では絶対に寝ない”

周りを見るということだ。

 

ものの見方や捉え方ひとつで

世界はまるで変わって見える。

 

人生は面白い。

 

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